Day −2920

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 より距離が縮まったのは、放課後のうさぎ小屋。 『あれ、今日当番だったっけ?』 『……いつの間に』  勢いよく振り返った彼女は、珍しく、切れ長の目をまん丸にしていた。  職員室へプリントを届けに行った帰り。  たまたまうさぎ小屋に人影が見えたので、気になって立ち寄ってみたのだった。  少しむわっと暑い空気に顔をしかめながら、僕は無粋にも尋ねた。 『今日は確か、奈波(ななみ)ちゃんたちの番じゃなかったっけ』 『……帰ったよ。遊ぶ約束、してるんだって』  一瞬、彼女の瞳が翳ったかと思うと、次には何事もなかったかのように元に戻っていた。  小屋越しに、遠くで騒ぐコたちの声が聴こえる。 『――うさぎってさ、寂しいと死んじゃうんだって』  ぽつりと、彼女がつぶやく。  まるで、孤独であることを嘆くような。  無性に抱きしめたくなるような声だったのを、覚えている。 『仲間と一緒に行動していないと、寂しくて生きていられないんだって』  まるで、私みたい。  そんな心の声が聴こえてきたような気がして、だからこそ、僕はあの時、あんな言葉を彼女にかけたのだと思う。  じゃあ、芽依ちゃんは生きていけるね、と。
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