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より距離が縮まったのは、放課後のうさぎ小屋。
『あれ、今日当番だったっけ?』
『……いつの間に』
勢いよく振り返った彼女は、珍しく、切れ長の目をまん丸にしていた。
職員室へプリントを届けに行った帰り。
たまたまうさぎ小屋に人影が見えたので、気になって立ち寄ってみたのだった。
少しむわっと暑い空気に顔をしかめながら、僕は無粋にも尋ねた。
『今日は確か、奈波ちゃんたちの番じゃなかったっけ』
『……帰ったよ。遊ぶ約束、してるんだって』
一瞬、彼女の瞳が翳ったかと思うと、次には何事もなかったかのように元に戻っていた。
小屋越しに、遠くで騒ぐコたちの声が聴こえる。
『――うさぎってさ、寂しいと死んじゃうんだって』
ぽつりと、彼女がつぶやく。
まるで、孤独であることを嘆くような。
無性に抱きしめたくなるような声だったのを、覚えている。
『仲間と一緒に行動していないと、寂しくて生きていられないんだって』
まるで、私みたい。
そんな心の声が聴こえてきたような気がして、だからこそ、僕はあの時、あんな言葉を彼女にかけたのだと思う。
じゃあ、芽依ちゃんは生きていけるね、と。
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