Day 3

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Day 3

 笑ってしまうほど、僕らは対照的だった。  しいて共通点を挙げるならば、好きな音楽が一緒だったこと、ぐらいだろうか。 「なーにしてんの、私のカレシくん」  目の前で手を大げさなくらいに振られて、右耳のイヤホンを抜く。 「……なんか言った?」 「何聴いてんだろーなって」  春風にたなびくカーテンの間から、彼女がひょっこり顔を出して、にっ、と笑った。  左耳に絶えず流れている音楽に、勇気づけられるようにして僕は手を差し出す。 「聴く?」  一拍の沈黙後、彼女は僕の手からRとかかれたイヤホンを受け取った。  耳に付けたことを確認して、僕は音楽を巻き戻し、再生する。  誰もいない教室で、無言のまま、三分九秒が過ぎる。 「……これ、聴いたことある」  ぽつりと、彼女がつぶやいた。  心の声が、漏れたようだった。  本当に、だと思った。  僕にそう錯覚させたのは、一滴の、水滴だった。 「ねえ、私のカレシくん」  彼女が、笑う。  いつものように。  ……いつもの、ように。 「協力、してほしいって私、言ったじゃない?」  僕は何も言わずに、ただ、うなずいた。  似合わない。  創られた、歪んだ表情。 「私さ。寿命、あと1年分しか残ってないんだ」  彼女の声が、聴き慣れた音楽と混じってきこえた。
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