Day 7

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Day 7

「知ってる? “ありがとう”って、1万回言うと幸せになれるんだって。」  人気(ひとけ)のない、どこかひんやりとした教室に二人。  わざわざ全員が出ていくまで、毎日数十分も待っていたなんて。  よくよく考えてみれば、すごく馬鹿馬鹿しかった。  滑稽だった。  それと同じくらい、必死、だった。 「2万5千回を過ぎると涙が出てきて、  5万回を超えると奇跡が起こるんだってさ」  彼女は校庭を走る運動部を窓から見下ろしながら、静かに笑った。笑ったように思えた。  彼女は、頑なにこちらを振り返ろうとしなかった。 「……信じてるんだ、私」  可憐な声ににじんだ、蒼い色。 「ありがとうって気が狂うまで言いさえすれば。  そんなものにすがって、毎日必死で、さ」  遠くに陸上部の掛け声が聞こえる。  日が、沈みだした。 「醜いんだ、私って」
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