Day 31

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Day 31

 水族館に、映画館に、遊園地。  たがが外れたように遠出をしまくっていたのは、きっと、割り切れたからだ。お互いに。  その日は、隣町に最近新しくできたショッピングモールへ来ていた。  私服姿の彼女と休日に会うことにようやく慣れてきていた頃で、要するに、僕たちの仲がだいぶ深いものになっていることを意味した。 「あ、ねえあそこのお店、すごいおしゃれだね……」 「行ってみる?」  学校以外の場所で彼女と会うのは、僕にとって、すごく新鮮だった。  それはやはり、彼女を――晴音(はるね)を、僕がきちんと“彼女”として認識しだしたからなのだろう。  晴音は、誰が見ても、明るくて魅力的な人だった。 「わぁ、すっごい綺麗……っ」  思わずといったため息をつく晴音に、僕は自然と口元がゆるむ。  可愛い。  その繊細なイヤリングよりも、君の方がずっと、何倍も綺麗だよ。  不安定な特別(とき)に、僕は意外なほど、後戻りができなくなってしまうほど、のめり込んでしまっていた。  はまってしまって、いたんだ。 「レジ、早く行こう」 「えっ?」 「僕が買う。晴音にそれ、早く付けてほしいから」  硬直する晴音の手から、向日葵の形をしたそれをそっと摘んで、そそくさとレジに向かう。  慣れないことは言うべきじゃないし、するべきじゃない。  そんな教訓を教えてくれたのも、思えば君が初めてだったね。
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