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Day 139
寂しい姿の木々が、一、二本、窓の外に見える。
こんな虚しい風景を、秋の終わりの頃から毎日見ていたのかと思うと、なんともいえない感情が僕を襲った。
「久しぶり」
「……来たんだ」
躊躇いがちに、お互いぎこちない挨拶を交わす。
ベッドに腰掛けている晴音。
ぼんやりと窓を見つめるその瞳には、一体何が映っていたのだろう。
晴音は、事前に聞いていたとおり、少し、でも確実に、腕や足が細くなっていた。
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『美影さんは、お家のご都合で転校することになったそうです』
朝学活。
突然担任の口から告げられた一言に、まだ寝ぼけ眼だった僕は一気に目が覚めた。
『今日は引っ越しのご準備をされているとのことでお休みですが、さいごに会えた時は、ぜひお別れを言っておいてくださいね』
引っ越し。
引っ越し。
引っ越し――。
…………引っ越し?
何テンポか遅れて、やっと理解が追いついてきた僕の脳を待ってはくれず、話題は来月に迫るテストへと移っていってしまう。
『あの晴音が、引っ越し?』
後ろの方から、思わずといったつぶやきが小さくきこえた。
お家のご都合で。
なんて都合のいい言葉だろう。
ぽっかりと空いている、窓際の二列目。
突然の引っ越し。
初めての欠席。
誰にも、何も告げずに。
その三条件がそろうことが、一体何を示しているのか。
そんなことは、容易にわかってしまった。
わかってしまった、から。
『先生。あの、少しお話が』
『……成松さん?どうかしましたか』
柄にもなく、朝学活を終えて出ていった先生を呼び止めていた。
『あの、晴……美影、さんのことで』
晴音の名前を出した時、一瞬、先生の顔がこわばったような気がした。
そんな気がして、胸のざわめきが、どんどんと膨らんでいく。
『ああ、美影さんのことね。何かあった?』
『いえ、……その』
何かを確かめたくて呼び止めたはずなのに、いざ対峙すると、思ったように言いたい言葉が出てこなかった。
その代わりに出てきたのは、
『“さいごに会えたら”って、どういう意味の、さいごですか』
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