Day 139

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「来ないと思ってた」 「……ごめん」  目を、そらしていて。  最後まで言わなかったのに、彼女は気まずげに視線をそらした。  流れる沈黙。  二人きりの、病室。  まさかこんな形でまた二人きりになるとは、想像していなかった。  いや、心のどこかでは、していた、のかもしれない。    だから、今日までここに、この病室に、足を向けることができなかった。 「何しに、来たの」  どこか突き放すような声が、空気を切り裂く。  引っ越すと告げられたあの日。  晴音の両親から、なんとか事情を聞き出したあの日。  もう、長くはないと、知ってしまったあの日。  僕は、ただただ恐ろしかった。 「晴音の“ありがとう”が、聴きたい」  ことが。 「ここに来れなかったこと、少し、言い訳させて」 「……は、」  晴音のかわいた声が、広い病室によく響いた。 ************************************************
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