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公爵家の立派なお屋敷に、不釣り合いな血塗られた薔薇が届いた日。
私はこれからの自分の不幸を予感し、クリスティーナ姫は旅立つ私を心配した。
この時の私は、無知で、人間不信で、誰のことも信じていなかった。
クリスティーナ姫がアイリーンになる前、死神伯に嫁ぐ私ほど大変ではないだろうと思っていたし、私は所詮身代わりで、何の価値もない存在だと疑っていなかった。
私はクリスティーナ姫になることが、どれだけ責任重大なのかはある程度わかっていたつもりだ。
人生を賭ける経験など、初めてのことだったけれど。
どうせ、誰かに私の所有権が移るだけだと思っていた。
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