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夜、寝ていると外で何か音がしたような気がした。
ゆっくり起き上がって窓の方を見たけれど、何も見えない。
ベッドから出て窓の方に歩いて行き、外を見た。
やっぱり暗くてよく見えない。
すると、突然目の前に人影が表れ、一瞬で消えた。
「ひっ……」
あまりに驚いて声が漏れてしまったけれど、あれはユリシーズだった。
一瞬だけしか見えなかったけれど、夜の闇に銀色の目が二つ、浮かび上がるように見えたから。
窓に張り付いてもう一度外を見ても、既に姿は無く、窓ガラスがひんやりと冷たい。
「なんだったの……?」
呟くように言って、眠っているエイミーを見る。
ダメだ、彼女を起こして私が見たものをただ伝えても、心配させるだけ。
「明日、直接ユリシーズに聞こう」
呟いて、ベッドに潜り込む。
その時の私は、自分の部屋が2階だということを忘れていた。
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