裁判

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裁判

裁判の日を迎え、私は喪服でクリスティーナの部屋にいた。 「いよいよね。わたくしは傍聴席で健闘を祈ることしかできないけれど、アイリーンは何も悪くないのだから自信を持って」 「はい……」 時間になったらヒュー皇子殿下が呼びにきてくれることになっている。 お城にある裁判所で、一般の人を入れない形で両親と対峙することになった。 皇子殿下が裁判長を務めてくれるし、皇室の弁護士が何度も家に来て相談に乗ってくれて、これ以上ないほど恵まれているのに……両親が相手だと思うと不安が消えない。 ――私は、あの人たちに言い返すことができるだろうか。 裁判所なんて、人生で一度も行ったことがない。 訴えたのは私だけれど、醜い言い合いをしなくてはならないのかもしれない。 「アイリーン、時間だ」 皇子殿下が側近のオルウィン侯爵と共に私とクリスティーナを呼びに来た。 赤に金の刺繡が入った派手なローブを身に付けている。どうやらこれが裁判長の正装らしい。 クリスティーナと小さくうなずき合って、部屋を出る。 実家にいた時の私は親に反抗することなどできなかったけれど、今はもう、両親に全てを握られてはいない。 人狼のみんなやユリシーズのためにも、私は絶対に勝たなくちゃ――。
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