裁判

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「確かに皇帝の証明がある。この契約書が捏造(ねつぞう)であった場合、原告は詐称の罪に問われるが、その様なことはないと誓えるか?」 「誓います。皇帝陛下に書類の貸与を請求した書面がどこかに保管されているはずですので、記録は辿っていただけるかと」 バートレットのハッキリとした物言いに、皇子殿下は「うむ」とうなずく。 「では、この事実に対して被告側の意見をうかがいます」 裁判官がお父様の弁護士に尋ねると、被告側の席でお父様が挙手をした。 「被告の発言を認めます」 裁判官の許可を得て弁護士が席に戻り、杖をつきながら歩くお父様が証言台に立つ。 「その書面にあることは事実ですが、いくら親権を渡したとしても私とアイリーンは実の親子、会いたい時に会うことの何が問題なのでしょうか? 契約には、接触を禁止する事項などございません」 お父様が、裁判官の方を見て訴えるように言った。 民事裁判は、最終的に裁判官の意見で原告側と被告側の主張の優位が決まり、そこから裁判長の判断で判決が下る。 お父様は、親子の血のつながりという部分で感情に訴えかけ、裁判官を取り込もうということらしい。 ヒュー皇子殿下は、心配そうに私を見た。そういう顔は不安になるからやめて欲しい。
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