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人間とは奇妙な生き物だと、穴を掘る少女を見て思う。
その少女は何時間も掘り続けて、しきりに首を傾げていた。
やがて日が暮れる頃、少女は諦めたのか穴を埋めて、スコップを地面に叩き付ける。
「何にもないじゃない! 嘘つき!」
悔しそうに言った少女はきっと私を睨みつけた。
「桜なんか大っ嫌い!」
濡れ衣だと文句を言いたくなるが、生憎、私には口がない。
怒って帰る少女を眺めながら、もし、口があったら絶対に聞きたいと考えていることを思い浮かべる。
誰だ、私の下に死体が埋まっていると言ったやつは?
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