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「あー、ああいうユーチューバーの人たちって、視聴者からのリクエストで次の調査内容を決めることも少なくないんだっけ」
「そうそう。動画を見て貰えないと、商売にならないわけだしね。……このリクエスト者が、この都市伝説にかなり詳しかったみたい。書き込みはたしか、こんなかんじ」
『それらしいサイトを見つけたのですが、自分でクリックする勇気がありませんでした。モチタンメンさん、試してみて頂くことはできませんでしょうか?そして、それをできれば動画にしてほしいです』
「コメント、いつの間にか消えちゃっててもう確認できないんだけど。迷宮に入る入口を見つけたけど自分に入る勇気はないから、代わりにモチタンメンに調査してほしい的な?」
「……待って、それらしいサイトって?」
なんだか、雲行きが怪しくなってきた。わりと最近、そのような話をどこかで聞いたことがあったからだ。
「この、何でも願いが叶う迷宮ってやつは、現実世界に入口がないらしいの。特定のWEBサイトにアクセスすることによって、異次元にある迷宮に飛ばされて、そこである条件をクリアするとなんでもお願いを叶えてくれるんだって」
ようするに、と夏美は眉をひそめた。
「こういう七不思議、うちの学校にもあった、よね?だからひょっとしたらって思ったのよ。この都市伝説、うちの七不思議に繋がってるのかもって」
確かに、ある。願いを叶えてくれる系の七不思議。
しかも香帆たちは、前回水泳部の事件の時に、軽くこの七不思議についても調査していたはずだ。
第五の七不思議、“呪われたWEBサイトへの入口。”
この学校のパソコン教室から、呪われたWEBサイトにアクセスすることができ、成功すると願いを叶えて貰えるとか――大体そんな内容の七不思議であったはずだ。ただ。
「呪われたWEBサイトと、そのなんでも願いを叶えて貰える迷宮の都市伝説が、実は同一のものであったとして」
香帆は呻く。
「それ、ちょっとおかしくない?呪われたWEBサイトの怪談……確か、そのサイトにアクセスできるの、うちの学校のパソコン教室からだけのはずだよ?なんで、外部の人間にそんな情報が洩れてるの?」
「うん、あたしもそれがおかしいなって。だから、本当に同じ怪談かどうかっていうのはわからないんだけど」
ただ、と夏美は続ける。
「このリクエストを受けて、モチタンメンの二人は迷宮の調査に乗り出して。それで、教えて貰ったWEBサイトにアクセスして、本当に願いを叶えて貰える迷宮に入ったっていうんだよね。で、調べて無事に帰ってきて、報告がてら撮影した映像をふまえた解説動画をアップしたの。あたしもそれは見たんだけど」
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