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特徴的な肌の色、恰幅のいい人間の男より二周りは大きいであろう目の前の怪物の正体を知っていた彼の顔色は悪い。ギルドのクエストカウンターで何度か依頼が貼られているのを見ていたが、自分には関係のないことと気にもしていなかった。慣れない者がが目にすればトラウマになるであろう醜悪な顔を晒し、つい先ほど目の前で人間の肉を食らっていた。
____オーガ。一体で村を丸ごと壊滅させるほどの力を持っている魔物で、主に中級の冒険者がパーティを組んで討伐する。つまり今の状況のエルトでは絶対にかなわない相手ということに加え、その数は三体。例え身体が自由でも逃げ切ることは不可能かと思えた。
「っ、来るな……!離れろ!!」
あまりの恐怖にそんな言葉が口を衝くが、言葉など通じるはずもない。否、たとえ通じたところで聞き入れてはもらえないだろう。まだ死にたくない。そんな思いに支配されるまま何とか逃げようともがくもあっさりと髪を捕まれ乱暴に引き立たされる。
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