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只でさえ知名度の上がった彼は、とても整った顔立ちをしていた。金を溶かしたような艶やかな髪と晴天を思わせる青の瞳。そんな彼を女性達が放っておくはずもなく、あるものは地位に、あるものは金に、あるものはその容姿に、憧れを抱いて彼と関係を持とうと躍起になった。しかし、彼はそんな女性達の一人として寝台にあげることはなかった。
それは一重に、村に残した婚約者の存在があったから。幼馴染で村で一番優しくて可愛い、アリシアという少女。彼女の存在は大きく、生活の基盤を作った後はいずれ一緒にこの町に移り住もうとしていた。今はその準備期間。他の女性にかまけている時間などないし、何よりエルトはアリシア一筋、まだ正式な婚姻はしていないが不貞を良しとしない性格だった。
名声を得て、富を得て、全てがうまく回っている彼に人々は羨望の眼差しを向ける。しかし、それを快く思わない者達がいた。有りがちな話ではあるが、一部の冒険者はそんな彼の活躍を妬み、いっそのこと排除してしまおうと結託した。
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