16人が本棚に入れています
本棚に追加
とにかくみんなに追い付かないと、その一心で体を起こそうとしてそこでようやく自分が両手両足を縛られた状態で地面に転がされていたことを知る。なんとか上体を起こし座り込んだ状態まで持ち直し、慌てて縄を解こうとするも固く結ばれた縄は藻掻けば藻掻くほどに皮膚に食い込み、肌は擦り切れる。そうしているうちに僅かに滲んだ血は縄に吸われ、縄は赤みを帯びる。
それならばと、自分の腰にあるはずの剣を抜こうと縛られた両手を持っていくが、その手が柄に触れることはなく空しく空を切る。ぎょっとして確認してみればそこにあったはずの剣は無くなり、何故かアイテムポーチもその姿を消していた。それに加えて頼みの綱である魔法もどうしてかそっぽを向いてしまっているようで、どんなに力を込めてもふだんならば頼れる魔力の温かさが感じることすらできない。
最初のコメントを投稿しよう!