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ぽつりと呟いたその言葉の意味はよく分からなかった。なにより熱に浮かされたエルトの頭ではそこまで理解が追いつかない。 それから、オーガはずっとそばに居続けた。意味深な言葉を言った後は特に何かを話しかけてくるわけでもなく、ただじっとそこにいるだけ。高熱にうなされ咳き込むエルトに水と少量の果実を与え看病を続ける。 十分な設備もなければ薬もない最悪の環境下で、エルトの意識はほとんど戻ることはなく、オーガの存在も朧げにしか認識できなかった。ただ意識の奥底で誰かが看病してくれているということだけが、ぼんやりと記憶に残る。 *** 「ん……」 次に目が覚めた時、辺りはまだ暗く洞窟内は闇に包まれていた。 オーガは何処かへ行っているようで、洞窟内に姿はなかった。 倦怠感は相変わらず続いていたが、それでも熱は下がっているのか幾らか頭もはっきりする。 その隙を狙ってなんとか逃げることはできないかと考えたが、立ち上がる為の体力も気力も残っておらず断念する。 どうせ、逃げても行く当てなどどこにもなかったため大人しく体力の回復に努めることにした。
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