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再会の果て
非常線が張られたテイラー邸の庭にテープが張られた。芝生を剥がし掘り起こされた地面には、ローマンの息子リチャードが眠っていた。
ゴードンの妻オリビアと娘のイザベラは病院へ。誘拐立て籠もり犯のローマンは警察署に連行さた。
状況整理のため現場に残ったウォーカー、リーフ、バニラの三人だったが、誰も口を開くこともなく時間だけが過ぎ去っていた。
「まさか最初から分かっていたなんて言わんよな」
「そうなのかバニラ!?」
時間に取り残された空気を破ったのは、ウォーカーが放ったバニラへの質問だった。
「そ、そんな訳。ないじゃないですか。ましてや。自分の癖の発覚を恐れてか、ち、痴情のもつれか。さ、殺人まで。犯すなんて」
後ろに束ねた髪を何度も留め直しながらバニラは答えた。
「しかし最初に訪れた時から疑問を口にしていたろ」
「疑問。と言うか。ゴードン本人が、出て来た時。メイドは、い、いないのかなーと思って。でも、犯人から連絡を、受けていて。使用人が居ないと、なれば。も、もう取引に入っているんだろう、なと」
「去り際、庭の芝生について質問したのは?」
「あ、あれは。使用人も居て。家の中が、完璧なほど綺麗なのに、庭だけ素人みたいな、あ、有様だったので。まさか、こんな展開になるなんて……」
再び重たい空気が三人を包み込みはじめた。
「ゴードンと宝石レッドノマーは何処へいったんでしょう?」
「それが残っていたなー」
手を頭に当てウォーカーが天を仰いだ。
「レッドノマーも嘘だと思います」
髪を束ねる事を諦めたバニラが、前髪を直しながら言った。
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