立て籠り

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レッドノマー(赤の賢者)? なんのことだ?」 「娘さんと宝石を……。ローマンさん。いったいゴードンに、どんな要求をしたんですか?」  リーフはバニラの言葉を思い出していた。 『彼は最初から嘘をついた』  ゴードンが嘘をついているなら、ローマンがイザベラと引き換えにした条件は別にある。 「息子は……。息子はあいつと愛し合っていると言って出て行った。それっきりだ。あいつが息子をそそのかしたに違いないんだ。あいつが息子をおもちゃにした……。何度話を聞こうとしても、あいつは取り合わなかった。だから娘を攫ったんだ」 「父がそんなこと!」 「うるさい!」 「イザベラ落ち着いて。ローマンさん話を続けて!」  崩れかけたローマンの落ち着きを、リーフは話し続けるさせる事で取り戻そうとした。 「会って話すと言うからリチャードの兄のライリーが行ったんだ。そしたら連絡がとれなくなった。ライリーとも、あいつとも。だから、ここへ来た。もう我慢の限界だ。あいつに全部、話してもらう」 ● 「そんな!」  体調を戻しウォーカー達と無線を聞いていたゴードンの妻オリビアが、小さな悲鳴と共に両手で口を覆った。  リーフとローマンの会話を聞いたウォーカーとバニラは、顔を見合わせていた。ぶつかる視線に、信じがたいと嘘はないが弾けた。 「警部。失踪以前のリチャードの目撃情報が」  駆けて来た私服警官に、ウォーカーは目線で続きを促した。
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