16人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「何故だね」
「ローマンさんに騒がれては自分の犯行が明るみに出てしまう恐れがある。だから殺す気ではあったんでしょう。でもなぜ犯人の要求がレッドノマーだと言ったのか。それは出所不明のお金のためじゃないでしょうか」
「ああ。警部が調べた中にあったね、出所不明の大金が」
リーフが手帳を出してめくり始めた。
「それは秘密の取引金じゃないでしょうか。相手は只者ではないでしょう。もしくは闇の組織かもしれない。持っていないレッドノマーを売ってお金をもらってしまったゴードンは、誘拐事件を利用してレッドノマーを失ったことにしようした」
「本当なら娘の命まで危ない目にさらすじゃないか! なんて奴だ」
「私、思ったんですけど。愚者の宝珠て、人間を試す為に造られたんじゃないでしょうか。ブルーノマー、レッドノマー、グリーンノマー。光の三原色だなんて、本当は十人十色。人が三人も集まれば、その輪の中には黒い欲望が生まれてしまう。それが愚者の宝珠なんじゃないかなって」
「なるほど。目には見えない黒い欲望。だから伝説に……」
バニラの言葉に唸って黙るウォーカーと、納得したようなリーフ。
「なーんて。ゴードンは使用人が死んだ時点で逃げたのかもしれませんね」
行方には興味がないと言いたげに大きく伸びをしたバニラは、ぎこちない笑顔をみせた。
最初のコメントを投稿しよう!