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スコップランド警察
『十人十色。人が三人も集まれば、その輪の中には黒い欲望が生まれてしまう』
昨日のバニラの言葉が頭から離れずにいた。
愚者の宝珠。その伝説を求める人々の透き通った夢や浪漫の象徴。それがまさか黒い欲望を具現化しているとは思いたくなかった。
夢見が悪かったウォーカーは、ブラインド越しに雨上がりの曇天を眺めながら、こっそりスコッチを落としたブラックコーヒーで目を覚まそうとしてた。
「け、け、警部。ウォーカー警部」
その一報は捜索班からではなく、一般の通報でもたらされた。
「じゅ、十八番街の高架下で。ご、ゴードンの遺体が、発見されました」
リチャードの死、宝石の有無、ゴードンの死、すべての真相が迷宮入りとなった。
〈愚者の宝珠〉
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