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私が「いいよ」と言うと、パンダは私の膝の上で眠り始める。
パンダは白黒の『パンダ』ではない。どこにでもいるような茶色の中型犬だ。
五年前、私が十五歳の時に父がどこからか拾ってきた捨て犬だった。母が随分怒っていたことを思い出す。父に対して「あの人はすぐに勝手なことをするんだから」なんてぼやきながらも、母はドックフードやケージを買いに行っていた。
母が怒っていたのは犬を拾ってきたことではなく、なんでもかんでも勝手に行動してしまう父に対してだったのだろう。
父に「名前をつけてあげなきゃな」と言われた私は咄嗟に「パンダ」と答えた。
当時一番好きな動物がパンダだったからなのだが、今にして思うと自分でも驚くほどネーミングセンスがない。
何はともあれ、その日パンダはパンダになった。
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