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第10話
さて、その頃であった。
アタシは、義母とふたりで家のダイニングテーブルにいた。
テーブルの真ん中に、大きめのお皿にゆでた豚肉がたくさん入っているサラダが置かれていた。
サラダが置かれている大きめのお皿の周りには、サラダを分けるための小皿が並んでいた。
父は、まだ帰宅していなかった。
義母は、ひっきりなしに柱時計を見つめながらひどくオタオタしていた。
それから20分後であった。
父が恐ろしい目付きで帰宅した。
義母は、父に対して優しい声で言うた。
「あなた…お帰りなさい…ちょうどよかったわ…晩ごはんを一緒に食べましょ…今日はね…ゆでた豚肉がたくさん入っているサラダよ…」
義母が言うた言葉を聞いた父は、思い切りブチ切れた。
「ふざけるな!!」
「あなた…」
「オドレしゅうか!!よくもオレをグロウしたな!!」
「グロウしてないわよ…うちは豚肉がたくさん入っているサラダができたよと言うたのよ…」
「ふざけるな!!よくもオレのことをブタ以下と言うたな!!」
「言うてないわよ…」
「だまれだまれ!!」
義母を思い切り怒鳴り付けた父は、部屋に逃げ込んだ。
その後、荷造りを始めた。
荷造りが出来上がったあと、父は、大きめのボストンバックを持って家から出ようとした。
義母は、両手を広げて父の行く手をさえぎった。
「あなた待ってよ!!」
「しゅうか!!なんで止めるのだ!?」
「こんな遅い時間に、どこへ行くのよ？」
「急用ができたから、旅に出るのだよ!!」
「急用ができた…」
「ああ…行き先は塩竈だ!!」
「塩竈…」
「次兄の嫁さんカタが経営している酒問屋へ行く…次兄の嫁さんの義兄が家出して行方不明になった…その上に…義父がくも膜下出血を起こして倒れた!!…酒問屋の人手たりないから来てくれと言われたんだよ!!」
「えっ…そうだったの…」
「工場は…当分の間休職をすると伝えておいた…そういうことで…」
父が言うた言葉に対して、義母はにえきらない表情を浮かべながら止めた。
行く手をはばまれた父は、ものすごく怒った声で『どけ!!』と言うた。
行く手をはばんだ義母は、泣きそうな声で父に言うた。
「あなた!!どうしても行くの!?」
「行くと言うたら行く!!」
「今夜は遅いから明日の朝にしてよ!!」
「なんで行ったらいかんのぞ!?」 「こずえちゃんと一緒に話す時間を作ってとお願いしているのよ!!」
義母からあつかましく言われた父は、ダイニングテーブルにいるアタシをつかんだあと、アタシの顔をよりし烈な力を込めてグーで殴った。
（ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!）
義母は、悲痛な声で父に言うた。
「あなたやめて!!なんでこずえちゃんを殴るのよ!!」
「オドレが話し合えと言うたから殴った!!オラこずえ!!」
（ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!）
ものすごく怒り狂った父は、アタシに殴るけるの暴行をしつように加えた。
その後、父はアタシの左のほほをナイフで切りつけた。
そしてまた、父はよりし烈な力でアタシをボコボコに殴りつけた。
父は、わけのわからない奇声をあげていた。
義母は、父が怖いのでその場に座り込んで泣いていた。
それから２時間後であった。
父は、義母に対して殴るけるの暴行を加えた。
この時、アタシはボロボロになった状態で床に倒れていた。
あおむけの状態で倒れているアタシは、血に染まった涙を流しながらぐすんぐすんと泣いていた。
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