最後の晩餐

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「ねぇ。人生最後の日に食べたいものって、何?」  俺はこの手の質問はとても苦手だ。答えに迷うのは当然なのだが、彼女は俺の答えに、何を期待しているのか・・・。 「由美の手料理かな・・・」  俺はそう答えた。  すると。 「それって当たり障りのない答えだよね・・・。面白くない・・・」 『やっぱり、そう返って来たか・・・』  この手の質問をしてくる彼女はそれぞれ答えが違い、正解が無いともいえる。  今まで俺が付き合って来た由美を含めた4人の彼女は、みな同じ質問をしてきた。  最初に質問してきた智子には、『ハンバーグかな』と答えた。 『ハンバーグって、いつでも食べられるし、一昨日も食べたよね』  次に付き合っためぐみには、『焼肉』と答えると、『なら、今日はモランボンの焼肉、食べに行こう』と返された。  その次に付き合ったりさには、『銀座の有名店のお寿司』と答えれば、『今の稼ぎじゃ一生無理だね』と返され、ことごとく彼女らとはその後、意見や趣味の違いからさよならをしてきた。
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