最後の晩餐

　俺はカプチーノを啜る。

「キリストはどうやってユダが裏切者だって知ったのかな？」

　俺の疑問に彼女はメニュー表を開きながら、「何か食べて良い？お腹が空いちゃった」と返した。

「あぁ・・・。あっ、俺、ボロネーゼ」

　そう由美に伝えてから、「なぁ、由美。ユダとキリストは最初から決めていたんじゃないかな？例えば、弟子達との最後の晩餐で、私はユダヤ人に逮捕され処刑されるだろう。しかし、それでは私の言葉は残せない・・・。なんて言ってさ」と話すと、「言葉を残しているじゃない」と言葉を返してきた。

　俺はもう少し、他の解釈が無いか検索してみた。

「リブロースステーキとボロネーゼ。ライスにクラムチャウダー。あと、海老グラタン」

　由美が料理を注文する声が聞こえた。