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お風呂から出ると、そのままリビングへと向かう。食卓には、出来上がった料理が並べられていて、美味しそうな匂いが部屋中に広がっている。
「あー、いい匂い」
「でしょ。でも、まだ髪が乾いてないよ」
「別にいいよ」
「ダメ。こっち来て」
腕を引かれてソファへ座らされると、祐希は後ろへ回りバスタオルで髪をわさわさと拭いてくる。いつもならそれは俺の役目なのに、今回ばかりは祐希のやりたいように甘えさせてもらおうと身を任せた。
「ふふっ、何かすごい新鮮だね」
「だな」
「けど、たまにはこういうのも悪くないかも……」
「たまには……だったらな」
「うん」
正直言って、俺はやっぱりやってあげたいって思ってしまう。
甘えるように身を委ねながら、時々上を見上げて俺に視線を向けてくる。そんな祐希の顔が堪らなく可愛く思えるから。
「よし、こんなもんでしょ。さっ、冷めないうちに食べよう」
「そうだな」
バスタオルをハンガーへ掛けながら祐希が言うと、二人してダイニングテーブルへと移動した。
「「いただきます」」
ハモるように手を合わせると、色とりどりの野菜と、煮込みハンバーグの乗せられたお皿に手を伸ばし、迷わずにハンバーグを一口サイズにすると、口へと運ぶ。
「うっまっ」
「良かった。今日のは、チーズインだからね」
「本当だ。最高じゃん」
「洸平、好きでしょ?」
「うん。すげえ、好き」
「やった!」
嬉しそうに小さくガッツポーズをしているところがまた可愛い。あの日、祐希はどんな気持ちでこの料理を眺めていたんだろう……?
俺のために作った料理を、俺のいない部屋で――。
出された料理は本当にどれも美味しくて、あっという間に食べ終わってしまった。十分にお腹がいっぱいで、「旨かったよ」と伝えると目尻を下げて幸せそうに笑っている。
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