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「佐木洸平、お前の最後の願いは何だ?」
真っ暗闇の中に突如現れた真っ白の礼服に身を纏った真っ白い髭がお腹辺りまである老爺が、たった今目覚めた洸平に向かって真顔で問いかけてきた。
この状況が呑み込めずに辺りを見渡すけれど、ここにいるのは洸平と老爺だけだ。
「最後の願いというのは?」
「お前はもうすぐこの世を去ることになる。その前に一つだけ願いを叶えよう」
「この世を去る……? それは、死ぬということですか?」
「そうだ」
短く完結に返事をされ、それ以上は何も聞けないと判断した。自分に起こった記憶を辿るために目を閉じて考える。
何があった――?
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