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彼女の声が急に聴こえなくなり、ふと脚元に目を落とすと、動かなくなった軀が横たわっていた。
「……くびり殺したのか、俺が」
呆然と呟く。
「君が、あまりに五月蝿いからだろう。俺は、悪くはない。だが、この屍体は、片付けなけりゃいけない」
桜の樹の下には……と、綴っていたのは、どこの文豪だったろう?
桜は、その樹の根元に、狂気を孕んでいるからこそ美しいのだと、その文豪も言ってはいなかっただろうか?
ならば──、
おまえも、桜の樹の下に葬ってやろう。
華やかな桜は、罪を内包してこそ、より妖艶に咲くだろうから……。
おまえを埋めた土を踏みしめ、艶やかに咲き誇る満開の桜を見上げる。
俺は、桜が故に好きになった──。
終
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