(1)私の顔をさらにデカくし続けた罪は万死に値する

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(1)私の顔をさらにデカくし続けた罪は万死に値する

 よく一緒に遊ぶ中学校の同級生・菜々子(ななこ)は、一緒に写真を撮るときに一歩下がる。  必ず一歩下がる。  おかげで、ただでさえデカいわたしの顔は、さらにデカく見えた。 「ごめーん。撮ってもらっていい? 私のスマホ、バッグの一番底に沈んでてぇー」  対抗してこちらも下がりたいが、彼女はそう言ってスマホや自撮り棒をいつもわたしに握らせてくる。おかげで物理的に下がれない。  ついに我慢が限界に達した。 「菜々子、わたし進学先はB高校の情報処理科にするね」  中学二年生のとき、彼女にそう伝えた。  女子率が異様に低いところであるため、彼女と一緒になる可能性は消えるだろうと思ったからだ。  中学一年生のときに「一緒の高校に行こうね」と約束し合った仲ではあるが、構うものかと思った。  私の顔をデカくし続けた罪は重い。
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