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「えっ?」
私は思わずその茶色みがかった瞳を見つめた。
「咲空は、頭が良くて、背も高くて、おまけに美人で。遊びに行けば良く男の子に声をかけられた」
それを横から奪っていったのは、自分だ。
私は、男を魅了するクリクリとしたその大きな目を睨みつけた。
「私は悔しくて、一生懸命努力したの。メイクもファッションも、どうしたら男の子にモテるか、必死に勉強した」
その成果が私から奪っていった男達、という事か。
「だからって……」
「陰で『あざと女子』って言われてるのも知ってた。だったら、そうなってやろうじゃない、って思ったの。咲空から男を全部奪ってやろうって」
「そう……」
私がそう言うと、色素の薄い瞳が真っ直ぐに私を捉えた。
高校時代、こんなふうに睨みつけてくる事なんてなかった。
いつもふわりと笑っていて……。
「……こんな事言われても怒らないんだ」
だって怒れるわけがない……。
私も卒業間際、親友を裏切ったのだから……。
彼女はこちらを睨みすえたまま続ける。
「……だから咲空の事大嫌いなんだ。酷い事されても怒らないし、陰口も言わない。いつでも優等生の良い子ちゃん」
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