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雨の中の天使
雨が嫌いだ。
まったく雨が降るだけで憂鬱になってくる。せっかく咲いていた桜も散ってしまった。桜の樹木のある公園も連日の雨で無残な姿をさらけ出した。
桜の花びらが水たまりに落ちていた。お花見もできないだろう。
ついでに言えば桜も嫌いだ。
あの日も桜が満開だった。初恋の彼女から振られた日。
彼女からは『良い人だけど彼氏には無理』と断られ失意の中、雨のそぼ降る帰り道を傘も差さずにトボトボと歩いて帰宅した。
おかげで次の日から風邪を引き、学校を休むことになってしまった。
以来、ボクの人生は最悪だ。もちろん彼女もいない。
だがこの日、ボクは少しだけ雨が好きになった。雨の降る公園で可愛らしい天使を拾ったからだ。
彼女は文字通り天使だった。
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