最後のとりで

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母・塔子は花道教室の先生で 家元でないまでも 生徒はかなりの人数を持っていた。 母の気性は勝気で 花道に高い誇りを持ち 生徒からも慕われていた。 一方、父は中小企業の平社員。 その頃の父は パワハラが当たり前の社会の中でもがいていた。 時に 母の収入が父のそれを超えることもあり 今思えば 父は 収入や待遇面で母に嫉妬していたのかもしれない。 父と母の衝突は日常茶飯事で ある日 激しい喧嘩の末 父は母の大切にしている花器をぶん投げて 母の目の前で粉々に粉砕させ 母を決定的にキレさせた。 母はその日から 少しずつ大切な花器を実家に運び出し ある日 父が仕事から帰ってくると 私達が花器もろともこつぜんと消えていた…。 これが別居の始まりだ。
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