最後のとりで

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ああ…そうか。 そうだったのか。 本当は 守ってくれる場所が欲しかったのは 私だったんだ。 孤独は いつもそばにいた。 母が男と出掛けていくのを見送るたびに 母がウニ男をかばうたびに 春輝と子供達が楽しそうに話すのを見るたびに たった1人で家事をこなすたびに いつもそこに孤独がいた。 寂しくて辛くて 本当は 誰かに守って欲しかった。 私も、母と同じ。 「あなたは1人じゃない。 なにがあろうと私がそばにいる」 そう誰かに言って欲しかったんだ。 誰も私を守ってくれないから 守る場所を自分で作ろうとした…。 「最後のとりで」が欲しかったのは 私だったんだ。
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