最後のとりで

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「遅い!」 光が漏れるリビングから 春輝のイライラした声がした。 「子供達はもう寝た。 どこ行ってたの?」 春輝の声がぼんやり聞こえても 疲れ果てていて言い返す気力もない。 リビングに立つと 春輝と子供達が 楽しそうにテレビを観ていた場面が目に浮かんで 目の奥がツンとした。 泣くな泣くな、がんばれ。 リビングの隣の和室で 並んで寝ている子供達の寝顔を見て ホッとした。 子供達の布団の横に 畳まれた洗濯物が 暗闇の中、うっすら見える。 子供達を寝かしつけながら 洗濯物を畳んでいる春輝の姿が目に浮かんだ。
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