最後のとりで

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冷蔵庫を開けて牛乳を入れると お持ち帰りパックのお寿司があるのに気がついた。 「夜ご飯、みんなでくるくる寿司行った。 それ、お腹すいてたら食べたら?」 春輝のぶっきらぼうな声が響く。 お寿司を手に取ると こらえていた涙が一気に溢れた。 胸がいっぱいでお寿司が喉を通りそうもない。 「ごめん お腹空いてない… でも、ありがと」  春輝が無言でやってきて 私の手からお寿司のパックを取り上げると テーブルに置いて蓋を開けた。 「ウニ、入ってないから」 私は テーブルに座って ベソベソ泣きながらお寿司を食べた。 お寿司、超美味しい… 今だったら 嫌いなウニでも食べられるかも。 食べ終わって 盛大に鼻水をかんだら 「子供達が起きるよ」 春輝に苦笑いされた。 離れた絆が 何事もなかったかのようにまた繋がり出す。 夫婦って不思議だ。
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