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魔法適性
「改めて運殿、先程はお手合わせありがとうございました。よもや魔法も使わず、あそこまで強いとは……世の中、上には上がいるものですね」
「俺の方こそ。五十鈴の変幻自在の戦法に翻弄されっぱなしだったよ。戦い方の良い参考になった、ありがとう」
二人は堅い握手を交わした。
「ところで、運殿はどうして魔法を使用しなかったのですか?」
「と言うより、魔法って俺でも使えるのか?」
「え? 冗談ですよね?」
「いや、至って本気だけど?」
五十鈴は首を傾げて固まった。
「で、では初めてお会いした時、忍者マスターズと戦った時はどうされたのです!?」
「いやあ、普通に? バーンとぶっ飛ばした」
「……普通にバーンとぶっ飛ばせるような奴等ではなかったはずですが……」
「そう言えばお兄ちゃん、勇者さん達と戦った時も力こそパワーだったよね」
「それしか能が無いんだよ。だってトラックだぞ?」
「とんでもない……とんでもないことですよそれは」
「いやトラックでも飛べるんだがそれは良いとして。……それは一体どういうこと?」
「楽しみでもありながら、恐ろしくもある訳です……要するに、今までは大振りの剣がたまたま当たって来たようなものですよね?」
「ん〜。確かに言われてみれば大振り過ぎると感じることもあったな」
「ただでさえ異常な程の強さ……これ、魔法を使いながら戦えるようになれば凄いことになると思いませんか?」
「もしかしてお兄ちゃん、世界最強?」
「並み居る転移転生者と比較しても、限りなく頂点に近付けると思います」
「凄っ。もしかして、お兄ちゃんが最初に言ってた通りになるんじゃないかな?」
「ん? 俺、何か言ったっけ?」
「轢かれる側の人間がトラックに敵う訳無いって……つまりトラックは轢く側、食物連鎖の頂点に居るってことなんじゃないの?」
「マジか」
「やろう! やろうよお兄ちゃん、魔法の特訓を!」
「お、おう……久遠がそこまで言うなら」
「やった〜!」
「私も、運殿が一体何処まで強くなるのか知りたくて仕方ありません」
「とは言ったって、魔法ってどうやって鍛えれば良いんだ?」
「そんなの。まずは適性を調べて、魔力の扱い方を学んだら、後はひたすら適性属性に応じたイメージトレーニングを続ければ良いんだよ!」
「解ったような、解らないような?」
「要するに、慣れればなんとかなる!」
「そうですね、私も実は感覚で使ってます」
「お、おう……」
運は二人の勢いに押されがちだった。
「そうと決まれば! 五十鈴さん、何処か魔法適性を調べられるところはありませんか?」
「それでしたら、里に店を構える私の友人が簡単な啓示も行えたはずですよ」
「素敵! 早速行きましょ~!」
「お、おう」
運は二人に背を押されて歩き出した。
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