転生先は小学生

8/20
前へ
/27ページ
次へ
 看護師と蒼藍によってリナはベッドに寝かされる。 「急に頭が痛くなった」  どうしたのかと聞かれたリナは端的に答えた。  看護師は念のためにと、検温と血圧測定を行う。 「うーん、問題ないですね」  数値はどちらも基準値内だった。  看護師はリナに目線を合わせる。 「頭痛いのが酷くなったり、吐き気があったり、めまい――ぐるぐる回る感じやふわふわする感じはない?」 「だいじょうぶ。今は頭も痛くない」  聞かれたことに答えるリナ。  頭痛はという考えをやめた途端、嘘のように消えていた。 「リナ、無理してない?」 「本当にだいじょうぶ!」  心配そうに見つめてくる蒼藍に答えたリナは、二人に気付かれないよう殺意を巡らせようとする。  しかし、また痛みがじわじわと広がり、試みを放棄した。 (わたしに人を殺させないために抑制がかかってるのか……)  頭痛の原因をそう解釈したリナが、窓の外に目を向けると日もだいぶ傾いていた。 「それじゃあ、また頭が痛くなったり、心配なことがあればナースコールで呼んでくださいね」  リナの容態に問題がないことを確認した看護師は、自分の業務に戻っていく。  病室には、再びリナと蒼藍の二人きりになった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加