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看護師と蒼藍によってリナはベッドに寝かされる。
「急に頭が痛くなった」
どうしたのかと聞かれたリナは端的に答えた。
看護師は念のためにと、検温と血圧測定を行う。
「うーん、問題ないですね」
数値はどちらも基準値内だった。
看護師はリナに目線を合わせる。
「頭痛いのが酷くなったり、吐き気があったり、めまい――ぐるぐる回る感じやふわふわする感じはない?」
「だいじょうぶ。今は頭も痛くない」
聞かれたことに答えるリナ。
頭痛は犯人を殺すという考えをやめた途端、嘘のように消えていた。
「リナ、無理してない?」
「本当にだいじょうぶ!」
心配そうに見つめてくる蒼藍に答えたリナは、二人に気付かれないよう殺意を巡らせようとする。
しかし、また痛みがじわじわと広がり、試みを放棄した。
(わたしに人を殺させないために抑制がかかってるのか……)
頭痛の原因をそう解釈したリナが、窓の外に目を向けると日もだいぶ傾いていた。
「それじゃあ、また頭が痛くなったり、心配なことがあればナースコールで呼んでくださいね」
リナの容態に問題がないことを確認した看護師は、自分の業務に戻っていく。
病室には、再びリナと蒼藍の二人きりになった。
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