転生先は小学生

10/20
前へ
/27ページ
次へ
 どうやら、リナの父は二人と離れて生活しているらしい。 「母と父、仲悪かった?」 「そんなことない。仲良しよ。パパはお仕事でアメリカにいるの」  そう言って蒼藍はスマートフォンの写真を見せてくれる。  親子3人で撮った家族写真には、リナと同じ明るい髪の男性が写っている。 「これが父?」  父親という存在が初めてなリナは、少し戸惑った表情で尋ねた。  蒼藍は優しい顔で頷く。 「リナからパパに言うことがあれば伝えるけど」 「特に……心配しないで、だいじょうぶって言って」  特にないと言おうとしたリナだが、蒼藍が泣きそうになったのを見て慌てて言い直す。 「必ず伝えるわ」  リナの答えに蒼藍は笑顔で帰っていった。  病室に一人になったリナは大きなため息をつく。 「母親ってあんなに子供に構う生き物だったのね」  静かになった病室で呟くリナだが、すぐに気持ちを入れ替える。  いつ犯人が接触してくるかわからないからだ。  目を閉じてウサギ小屋での出来事を思い出す。  朝月の死体とウサギの死骸――周りに人気(ひとけ)はなかった。 「衝動的に殺してしまい、ウサギ小屋に運んだ」  絞殺するつもりなら、ロープでも用意すればいい。  タオルを使ったのはその場にあったからだろう。  ウサギ小屋に運んだのは死体を一時的に隠すためではないか、とリナは考えた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加