6人が本棚に入れています
本棚に追加
「朝月琴子さんを殺害した犯人はまだ捕まってないんだ。悪い人を捕まえるために、リナちゃんが覚えていることをおじさんたちに話してくれないかい?」
子供にもわかるような簡単な言葉で聞かれ、リナは頷く。
「わたしが覚えているのは、ウサギの餌やり当番でウサギ小屋に行ったときに朝月先生が倒れているのを見つけたってことです」
「ウサギ小屋の外から、倒れている朝月先生が見えたのかい?」
「ごめんなさい。覚えていないです」
聞き返されたことに対しても、怯える様子なく答えていくリナ。
「そうかそうか。じゃあ、リナちゃんがウサギ小屋に入ったとき、倒れていた先生以外に誰かいたかな?」
更に聞かれ、リナは首を傾げる。
「ゆっくりでいいよ。思い出せそうかい?」
目を閉じて、リナの記憶を思い起こす。
眼の前には倒れている朝月とウサギの死骸。
視界の端までは思い出せないが、誰かが同じ空間にいる気配はなかった。
「ウサギ小屋の中には居なかったと思います。驚いて倒れちゃったから、絶対とは言えないけれど」
狭いウサギ小屋の中に誰かがいたのなら気付くはずだ。
リナの答えに二人の刑事は頷き合う。
「それと、もう一つだけ。リナちゃんが知っている中で、ウサギを虐めている子はいなかったかな?」
刑事の問いかけに、リナの表情が固まる。
その問いかけの真意を理解したからだ。
最初のコメントを投稿しよう!