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それも一瞬で、すぐに首を振った。
「ううん、そんな悪い子はいなかったです。みんなで交代にお世話してました」
「そうか。ありがとう」
リナの答えに頷くと、刑事たちは空と一緒に部屋の外へ出る。
子どもに聞かせたくない話なのだろう。
ウサギを虐めていた子供はいなかったと答えたリナだが、本当のところはわからなかった。
学校で生活していた記憶は思い出せないのだから。
しかし、刑事の質問の意図を察して答えたのは事実だ。
「ウサギを殺した子が、先生に見つかって殺したことにしたかったんでしょうね」
ウサギの死骸から、動物虐待を行っていたのではないかと考えて捜査しているように感じた。
しかし、リナの直感は違うと告げている。
「こんな杜撰な手口に騙されるなんて、この国の官警は大丈夫なのかしら」
子供らしからぬ口調で呟くと、リナはベッドから降りた。
洗面台まで行くと、今更ながら鏡に映った自分の姿を確認する。
母親の蒼藍とは違う明るい髪色に、瞳も茶色に緑や青が混じった複雑な色だ。
父方にヨーロッパ系の外国人がいるのかもしれない――そう思いながら鏡の中自分を見ていると、首にアザのようなものがあることに気付く。
首を一周、まるで輪のように囲むアザ。その中央にあの数字が刻まれていた。
「はっ、まるで首輪ね」
蒼藍や刑事たちが何も言わなかったことから、彼女たちには見えていないことがわかる。
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