転生先は小学生

7/20
前へ
/27ページ
次へ
 見えたところで、首輪のようなタトゥーだと思われるだけだろう。  刻まれたアルファベット――ローマ数字が表す意味なんてわかるわけがない。  鏡に映ったリナの首にある刻印は『ⅮⅭⅩⅢ』と、変わらなかった。  神が言うとおり、殺人鬼を裁いていけば変わっていくのかもしれない。 「つまりは『Set a thief to catch a thief』ね」  海外版のことわざを完璧な発音で呟く。  日本のことわざに訳すなら『蛇の道は蛇に聞け』『毒をもって毒を制す』だろうか。  つまり、殺人鬼のことは殺人鬼に――ということだ。 「杵塚リナてしての記憶があれば、すぐに殺人犯がわかったと思うのに」  見解はまとまったものの、どう動いたら良いのかがリナにはわからない。  しかし、彼女の勘が正しければ、犯人の方から接触してくるはずだ。 「ただ待つのも退屈」  言いながら、リナはどう犯人を追い詰めるのかを考えていた。 (手っ取り早く殺してしまおうか……)  殺人に対する償いは死だと考えたリナだが、相手を殺害しようと思った瞬間、酷い頭痛に襲われる。  頭を押さえて踞ったところに蒼藍が戻ってきた。 「リナ!?」  彼女は床に踞っている娘を抱き起こすと、ベッドのところにあったナースコールを鳴らす。  程無くして看護師が様子を見に来た。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加