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どうやら、リナの父は二人と離れて生活しているらしい。
「母と父、仲悪かった?」
「そんなことない。仲良しよ。パパはお仕事でアメリカにいるの」
そう言って蒼藍はスマートフォンの写真を見せてくれる。
親子3人で撮った家族写真には、リナと同じ明るい髪の男性が写っている。
「これが父?」
父親という存在が初めてなリナは、少し戸惑った表情で尋ねた。
蒼藍は優しい顔で頷く。
「リナからパパに言うことがあれば伝えるけど」
「特に……心配しないで、だいじょうぶって言って」
特にないと言おうとしたリナだが、蒼藍が泣きそうになったのを見て慌てて言い直す。
「必ず伝えるわ」
リナの答えに蒼藍は笑顔で帰っていった。
病室に一人になったリナは大きなため息をつく。
「母親ってあんなに子供に構う生き物だったのね」
静かになった病室で呟くリナだが、すぐに気持ちを入れ替える。
いつ犯人が接触してくるかわからないからだ。
目を閉じてウサギ小屋での出来事を思い出す。
朝月の死体とウサギの死骸――周りに人気はなかった。
「衝動的に殺してしまい、ウサギ小屋に運んだ」
絞殺するつもりなら、ロープでも用意すればいい。
タオルを使ったのはその場にあったからだろう。
ウサギ小屋に運んだのは死体を一時的に隠すためではないか、とリナは考えた。
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