番長・お菓子ハウス

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その後、大好は 「お前ら、流石に言い過ぎだぜ 俺なんかの為にそんなに熱くなるなよ」 と、クラスメイト達を窘めた しかし 「俺なんかなんて言うなよ!」 「そうよ、天猪君は自分で思っている以上に素晴らしい存在なのよ」 「あの3人組がおかしいのさ」 と、クラスメイト達から嬉しい否定文が帰って来た そして弥七郎も 「ヒロちゃん、皆の言う通りで、ヒロちゃんはこの3年で皆に素晴らしい事をしたんだよ、だからもっと胸を張って良いんだよ」 皆にそんな風に思われていると大好としては 「なんか照れるなー」 と、頭を掻いた 「まあ、何はともあれ、あの3人が心配だ 俺ちょっくら捜してくるぜ、今日は卒業式なんだしよ」 そう言って、大好が教室を一歩出ると 「待って、今あなたが行くと事がややこしくなるから、私が捜してくるわ」 そう言って、由衣が大好を押し退ける様にして あげは達を捜しに行った 「ははは、それもそうか」 大好が苦笑いをして教室に戻ろうと踵を返そうとしたその時 校庭に誰か出てきたのが廊下の窓から見えた 同級生の各務原緑森(かかみがはら・みもり)だ ずいぶんコソコソしているが、慌てている様に見える そして緑森は、校門の方へ向かっていた 『各務原緑森、こんな時間に一体どこに行こうって言うんだ? もしかして卒業式出ない気か? あいつとはクラス一緒にならなかったけど 確か、高校は義務教育じゃないから、卒業できるなら熱が出たって卒業式出たいって 言ってた覚えがあるぞ 何かあったに違いねえぜ、追いかけねえと!』 大好の番長としての勘が短期間で全て考え結論を出した 「ヤシチ、ちょっと野暮用出来た、卒業式には間に合わすから!」 「えっ?!どうしたの?ヒロちゃん!?」 弥七郎の問にも答えず、大好は緑森を追った 大好が校庭に出てくると ちょうど緑森は、校門から外へ出ようとしていたが 卒業生の保護者や式に参加する来賓客等が 校門からどんどん入って来るので 外に出られないらしい 『今がチャンスだな!』 大好が緑森の元へ一目散に走った 「おーい、各務原緑森(かかみがはら・みもり)!」 大好がそう言って声を掛けると ドキッとした様にこちらを見て 相手が大好だと分かると、一安心した様だ 「天猪くんか」 「どうしたんだよ?卒業式までもう時間ねえぞ?忘れ物でもしたのか?」 大好が聞くと 「それが、卒業式に出てる場合じゃ無いみたいなの、さっきパパから連絡があって」 と言って、理由は語らずに緑森は校門を出ようとしたが 大好が肩を軽く掴んで引き止めた
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