桜の下で背をはかる

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 が始まったのは七年前。何がきっかけかと言われると、勿論思い当たることはあるというかまあドンピシャな理由がある訳だけど、そこはまあ一旦置いておいて。家の前に古くから植わっている桜の木が突然話しかけて来た時には驚いた。 「今日は何するの?」  は?と僕は目を瞠った。でも、その頃はまだ小学生にもなっていないだったから、素直に答える以外の選択肢が思い浮かばなかった。 「えっと…今日は、そうだな、幼稚園が休みだから家でテレビ観ようかな」 「最近、テレビは何が流行ってるの?」 「え、例えば…」  僕が流行りのアニメのタイトルをいくつか挙げると、桜の木は「ふうん」と分かったような分からないような返事をした。 「え?喋れるの?」 「ん?喋れるよ」 「だって今までこんなこと無かったでしょ」 「今までなかったからって、これからもないとは限らないよ」  どんなことだって今までなかったからこれからも起こらないとは限らないんだよ。桜はもっともらしく言った。
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