日和と稔の馴れ初め

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日和と稔の馴れ初め

稔君とは日和の結婚相手であり、政略結婚の相手でもあった。 仕事の関係で、日和の家と稔君の家は繋がりを持ちたかったのでその生贄として僕達が選ばれたのだ。 稔君と日和は7つも年が離れていた。結婚したのは日和が34歳の時だ。稔君はまだ27歳だった。 それからすぐに養子である蓮君を迎えた。 日和も今は35歳である。もう結婚して1年も経ったのか。 最初はほとんど話すこともない結婚生活だったが、稔君のご両親やうちの姉さんとお義兄さんが何かと蓮君を気遣ってくれて、週末は月に一度か二度ほど家族で集まって遠出をするようになった。 今週は、稔くんのご両親行きつけの海辺のリゾートホテルでゆっくりすることになっていた。 海に行くと言っても、自分はせいぜい浜辺を散歩するくらいで後はホテルの部屋で寝ているだけなのでいつもは普段着で行く。でも姉さんの言う通り少しはお洒落をするのも悪くないかもしれない。 なぜなら最近の日和は、以前より稔君の目が気になるようになったのだ。少しでもまともに思われたいと考えるようになったのだ。 好意を持たれたいというよりは見栄っ張りのほうが近いだろうな。
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