最後の1本

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 死神のような骸骨は無数に並ぶ灯のほうへ歩いていき、1つの灯を手に載せて戻って来た。 「コレ、オ前ノ命、の灯」  見ると小皿に乗った灯は、ドロドロに溶けたロウの真ん中で必死に耐えているようだった。 「あー…なんだ、つまりこの火が消えたら俺は死ぬのか」 「ソうダ、コレ、4本目」  ―――4本目!? 「オ前、は3回死二カケ、た。ソのタビに新シイ、ロウソクに灯ヲ移シ、替エてキタ」  確かに今までよく生きているな、と思える程の事故やトラブルは…3回、身に覚えがある。 「ワタシ、は、命の灯ノ番人。オ前、の人生二興味、がアッテ、今マデ繋イデキタ」  俺の人生?  あぁ、確かに観てて面白かっただろうな。  なんたって、結婚5回、離婚も5回。子供は認知しているだけでも10人、孫が…名前を知っているヤツだけでも16人だったかな。  高級車を乗り回す時期もあれば、チェーンが何度も外れる自転車を乗り回す時期もあった。  毎日のように料亭で接待をする日もあれば、つくしをご馳走と思う日もあった。  金持ちになる度に結婚し、貧乏になる度に離婚した。  愛人を作っては殺傷沙汰になった。  法律スレスレの仕事をしては、消される寸前にもなった。
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