桜の札が嫌いだ__恋の百人一首__

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翌朝、俺はいつもより早く起きてしまった。 そして、とてつもなく眠い…… 睡眠が浅かったようだ。 で、咲良さんの夢を見たのかというと、そんなご都合主義的な展開があるはずもなく、俺は何の夢も見ていなかった。 『すみの江の 岸による波 よるさえや 夢の通い路 人目よくらむ』 夢の(かよ)()で、俺は咲良さんに会うことはできなかった…… * * * 俺は教室に入った。 咲良さんは、相変わらず白い顔をしており、そして、無表情だ。 なんとなく近づきがたい雰囲気がある。 しかし、俺は知っている。 百人一首の札を取った時に見せる咲良さんのステキな笑顔を。 当たって砕けろ! 俺は、咲良さんと仲良くなりたくて、思い切って話しかけてみた。 「今日は百人一首大会だね。どう? 自信ある?」 「え? えぇ……うん。まぁまぁかな。恭介くんは全校一位を取れそう?」 「う、うん……まぁ、頑張るよ。咲良さんは、やっぱり今日も、桜の札を全部取るの?」 「え? 全部取れるかは分からないけど、桜を歌った札はできるだけたくさん取りたいな」 「たくさん取れるといいね」 よし、咲良さんと自然に会話ができたぞ! 今日の百人一首大会で優勝して、咲良さんに俺のすごさを認めてもらおう!
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