桜の札が嫌いだ__恋の百人一首__

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先生が次に読み上げた札はこれだった。 「ふ……」 「はい!」 今回も誰よりも早く、俺は札を取る。 そして、またもクラスメイトたちからの羨望の視線を浴びる。 俺は優越感に浸った。 俺が取った札は『むべ山風を 嵐というらむ』 先生は、最後まで読み上げた。 「()くからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を 嵐というらむ」 この歌は漢字パズルのような歌だ。 「山風」という漢字を合わせれば、「嵐」という漢字ができあがる。 百人一首では、秋をテーマにした歌は多い。 秋は風情があるので、和歌を作りやすいのであろう。 ちなみに、百人一首で秋を詠んでいるのは全員男性。 秋は、男性の方がロマンチックになってしまう季節なのだろうか。
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