桜の札が嫌いだ__恋の百人一首__

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「……」 「はい!」 どこかで誰かが札を取った。 しまった、読み札を聞き逃していた。 次はちゃんと聞いていなくては…… 「もろともに あわれと思え……」 「はい!」 また、咲良さんが札を取った。 華奢な体つきをしているが、札を取る時の動きは俊敏であり、そして、その動きは洗練されているように思えた。 美しい…… 俺は咲良さんに見とれていた。 ポニーテールも似合っている。 そして、意外にも百人一首が得意ときたものだ。 咲良さん、いいかも…… あぁ……俺はこんなところでクラスメイトに一目惚れをしてしまうとは…… 俺の視線に気づいた咲良さんは、顔を上げてこちらを見た。 ヤバイ! ジロジロ見ていたのがバレてしまう!! 俺は慌てて視線を反らした。 何をやっているんだ、俺は。
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