桜の札が嫌いだ__恋の百人一首__

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「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心(しずごころ)なく……」 この札は、俺が取ってやる!! しかし、探せど探せど見つからない…… その時、咲良さんは俺の方に突進してきた。 俺の心臓は止まりそうになった。 「はい!」 なんと、札は俺の目の前に置かれていたのだ。 灯台下暗(とうだいもとくら)し。 憧れの咲良さんがすぐ近くに…… 俺はドキドキした。 咲良さんは、俺の目の前から札を取ると、俺の顔を見てニコリと微笑んだ。 !! これが漫画なら、俺の目はハート型になり、頭のてっぺんが噴火しているみたいな絵になっていることだろう。 咲良さんは、俺を見て微笑んでくれた。 さっきまで、ジロジロ見ていて嫌な印象を与えたのではないかと不安だったのだが、笑顔を見せてくれるってことは、咲良さんは俺のこと、ひょっとしたら興味を持ってくれているのかも。 そんな都合のいい妄想にふけってしまう。 俺の妄想は暴走していく。 ちなみに、下の句は『静心(しずごころ)なく 花の散るらむ』 桜の花が落ち着かない様子で散っている様子を詠んだ歌だ。 俺も静心(しずごころ)をなくしていた……
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