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真人先輩と出会ったのは、中一の時。
入学当初、まだ部活を決めかねていた私は、毎日放課後になると、いろんな部活を見学して回っていた。
別に、運動部ならどこでも良かった。小さいころから身体を動かすことが好きだったから。
だけどあの日、私はバレーボールの虜になった。
いや、バレーボールというより、真人先輩に、と言った方が正しいかも知れない。
とにかく、スポットライトを浴びて華麗にアタックを決める真人先輩を見た瞬間、まるで雷に打たれたみたいな衝撃が、身体中を駆け抜けたのだ。
雷に打たれたことはないから、その表現が正しいかどうかはわからないけど。
私は今まで、人間があんなに高く飛ぶところを見たことがなかった。
体育館の床をキュキュっと擦るシューズの音がしたかと思うと、百八十センチは優にあるであろう身体がふわりと宙に浮き上がる。そして、一番高いところで時が止まる。その瞬間、全ての音が消え失せ、光という光が彼の周りに集まるのだ。
いや、実際は0コンマ何秒かのほんの一瞬の出来事だったし、音が消えたわけじゃない。もちろんスポットライトなんかあるはずもなく、ただ単に、体育館の水銀灯が眩しかっただけなのだ。
それでも私には、あの時の真人先輩が、スポットライトを浴びてステージで踊る、アイドルスターのように見えたのだ。
そんなアイドルに少しでも近づきたくて、入部希望の用紙に『バレー部』と書いた。
我ながら邪すぎる理由に笑っちゃったけど、バレーボールは意外にも自分に合ってたようで、楽しかった。
その気持ちを伝えたくて、初めてレギュラー入りしたその日に、真人先輩に告白をした。
結果は撃沈。
「君のこと、あんまり知らないから」
そりゃそうだ。
だったら知ってもらうしかない。
その日から私は、事あるごとに、真人先輩に話しかけることにした。
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